4月にタバブックスさんが『怒りZINE』を発行された。そのことを知った私の最初の感想は「それ私もつくりたいなあ……!」だった。
http://tababooks.com/tbinfo/gasiedit_ikari
そこへ〈自分でもこういう内容のzineを近々出したいなあ、と思ってい〉た大阪のぽんつく堂さんが寄稿者を募集されているのを目にして、勢いよくエントリーした。
それから締め切りまで1カ月強あったのだけど、その大半はテーマ選びに費やすことになった。
政治や社会に対して毎日新鮮な怒りがわき上がっており、ネタには事欠かないはずだったのに、何を書くべきか長いこと絞れなかった。
その迷いの理由の一つは、ZINEが「個人的な怒りのカタログ」という趣旨であったことで、自分ごとの怒りを言葉にしようと考えるとその距離感の選びとり方が難しかった。
もちろん生活と政治は不可分で、すべていろんな観点でいずれにしても自分ごとだからこそ毎日怒っているわけだけど、「こんな報道に接し怒り心頭でした」という出来事を「自分が体験した怒り」としてまとめることが難しかった。
(今考えれば、どういう経緯でその報道を知ったか、知ったあと何をしたか、というところまで含めて行動を体験として書くことはできたかもしれない)
直近で特に大きい怒りは入管法改定案や差別・排外言動に対するもので、それをまとめようかとも考えたが、限りある文字数の中で説明と怒りと誰かを踏まないことを共存させるだけの力量が私にはなかった。
もう一つ、昨年10月に起こったあのことを書こうかとも考えた。このことは、エントリーを決めたときから念頭にあった。
ワンイシューの名のもとに、さらに弱いひとやそのひとたちとともにあろうとするひとたちを見捨てた社会運動のこと。目の前で直接くらった差別・排外肯定言動や偏見の数々。あれはまぎれもなく私が体験した怒りであり、いまの社会に横行している差別のことでもある。書く意義も大きいと思った。
でも、あのことは私だけが体験したことではなかった。原稿として出すこと自体、合意を形成する必要があると考えた。
また、個人攻撃と受け取られる内容にすることは避けたかった。あらぬ迷惑が、自分自身ではない発行元にかかることも避けたかった。そうしたことから、出すならばもっとよく練ろうと考え、今回はやめた。
そうして最終的に、消費税とインボイス制度についての怒りを書いた。
インボイス制度に反対すべく情報を収集し、内容を理解する過程で感じた怒りは、まぎれもなく私のものだ。それは今も毎日もちつづけているものだ。
それに、インボイス制度など困ったことについて声を上げることを躊躇しているひとや、インボイス制度について詳しく知りさえできていないひとにもし届いたらいいなとも思った。
そうしてどうにか原稿をまとめた。難しかった!
(自分以外の)主体が出すZINEに対する配慮、ZINEテーマとの整合性、文章の堅さの選択、スペースの使い方……すべてが難しかった。ライターとして仕事をしはじめてなんだかんだ7〜8年は経つけど、今までの仕事のどれとも違う難しさがあった。それだけに書いてよかった。誰かに届くだろうか。
◆◆◆◆◆
刈り上げを維持するべく、あと美容院代節約のために、少し前からバリカンの導入を考えている。実際、通販サイトのカートにはバリカンが入ったままになっているけど、どうも決断できない。「自分でできるのか?」の不安を払拭しきれないし、美容師さんとのおしゃべりの時間が完全になくなってしまうのもさびしかった。
そんななか、SNSを眺めていたらバリカンを使っている方がいて、いろいろ伺うことができた。
どういう順番で作業を進めるか、どういうケープを使っているか、など具体的な手順やツールを伺って、イメージがかなり具体的になり、「私もできるかもな」まで進むことができた。ケープをかぶって作業する分夏は暑いし、厚着すると作業に支障が出るので冬は寒い、ということで、始める季節も選んだほうがいいという話は目から鱗だった。知ることは大事だ。
そうして知ると新たな疑問が生まれるもので、今度は「バリカンするとしたらどこでするか」という悩みが浮上した。部屋で髪の毛が散らかるのはつらい。洗面所は狭いし物がたくさんあるので、髪の毛が散らばってしまうと掃除が大変になる気がする。お風呂で作業して散らばった髪の毛を流すことになったら詰まらないか……? などなど。
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