社会

入管法改定案、衆議院法務委員会で可決されてしまった。賛成したのは、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党。この4党の議員は委員会で、人の命を見捨てることを正当化する言葉を、涼しい顔でスラスラと口から出していた。それを直視すると、まさしく自分が死刑台にいる気持ちになる。日本共産党の本村議員によれば、今日の法務委員会は「採決前提ではない審議」だったそうなのに、こうして強行採決する与党とゆ党。どこにも誠実な姿勢なんかない。どう非難しても足りない。

なお、国会の様子は「PolityLink」というサイトで手軽に見ることができる。動画と自動文字起こしテキスト(機械的なものなので誤字あり)を合わせて見ることができ、任意の発言の頭出しも簡単にできるし、テキストを流し読みするだけでも雰囲気がわかる。

「文字起こしは全て自動作成されており、その正確性を保証することはできません。特に、個人名や地名などの固有名詞は間違えやすいことや、複数人が同時に話すなど、音声が聞き取りづらい環境では誤った文章を生成する場合があることなどを確認しています。」(「このサイトについて」より)

PolityLink「このサイトについて」より

という点には留意が必要だけど、本当に便利。この超超便利さを体験してみてほしいし、この法務委員会の様子もぜひ確かめてほしい。


この成り行きを想定していても落胆は大きかった。思考を仕事に向けることができず、猫のフードと文房具を買い、猫の尿検査のため動物病院に行った。病院は犬の狂犬病予防注射で混み合っており、近所のスーパーで買い物して待ち時間を過ごすことにした。

夕方のスーパーにしてはあまり人がいない。連休前だからだろうか。今、ここにいるこの人たちは、今日入管法改定案が可決されたことを知っているのだろうか。日本の公的機関がひどい人権侵害を行っていることを知っているのだろうか。見た目にはわからない。もしかしたらこの中の誰かは、私と同じようにひどい落胆のなかでどうにか生活を続けていこうともがいているかもしれない。その人から見れば、私も「のんきに買い物する人」に見えているかもしれない。お互いにわからない。私は落胆の深海にいる気分だったけど、目で見えている世界はいつもと変わらなかった。あんなひどい出来事があったのに、それでも世の中は、私もあなたも、何でもない日のように動くことができてしまっている。その現実が信じがたかった。

夜は楽しみにしていた百想芸術大賞がある。けど楽しんで見る気にもなれないな……と思いながら動物病院のロビーでTwitterを開いたら、今年は開始時間が早いらしく、もうレッドカーペットタイムが始まっていた。ヨム・ヘランがとてもかっこよかった。

帰って、久しぶりに酒を飲んだ。有楽町では議員有志が緊急街頭集会を開いているし、反対の活動もまだまだすべきことがある。何も終わってない。何も。それに、反対すべきなのは入管法改定案だけではない。原発推進のための束ね法案とか、軍需産業を支援する法案とか、紙の保険証を廃止してマイナンバーカードをごり押しする法案とか、今国会ではひどい法案が立て続けに審議入りしては数の力で採決されている。どれもこれもこのままいったらやばいのに、どれもこれも反対するだけのリソースが足りない。そんな状態で酒を飲むのも気が引けたけど、明日からまた生きていくために一息つこうと思った。


だいぶ酔ってきた頃、百想では車いすに乗った方が受賞していた。字幕がないので何の賞なのか、どなたかなのかもわからない。その方は名前を呼ばれると、座っていた席から壇上へ車いすで向かった。ステージには当たり前のようにスロープがあり、その方の進行を妨げるものは何もなかった。韓国はそういう社会なんだ。それだけで感じ入ってしまった。韓国語を聞き取れない私はスピーチの内容を理解することはできなかったけど、熱を込めて話すその姿はただただ眩しかった。
Mastodonで拝見した投稿によると、その方はハ・ジソン氏で、演劇部門で演技賞を受賞したそうだ。「障害を持つ俳優が演技賞を受賞するのは、59年続くこの芸術賞で初とのこと」。スピーチの内容もとてもよかった。

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