データ待ちの仕事2件、どちらも昨日には届いているはずだったのがどちらも届かず、確認するとさらに延びるとのこと。焦りだけが増すけど、今私ができることは何もない。これはもう文フリに行ってこいということではなかろうか……という辺りの思考を何周かめぐらせて、こうしてうだうだしてSNSを眺めているぐらいなら行ってしまおうと決め、チケットを買った。
出発したのが遅かったので、道中でSNSを見ていると売り切れ間近であることを知らせる投稿もちらほら。無料で配布しているペーパーなどはおそらくほとんどはけているだろう。あと30分うだうだをショートカットできていれば……と思うも、入場に待ち時間が生じているという投稿もあり、これでよかったと思うことにした。羽田空港に近づくほど電車は混雑し、マスク非着用率は高まっていた。
文フリに行こうと決めた大きな理由は、通販するかわからないZINEがどうしてもほしいというものだった。事後に通販するか聞けばよかったのだけど、なんとなくできないままでいた。会場に着いて、一番ほしかったZINEのブースに最初に行った。SNSでフォローしています、あなたのZINEがほしくて今日は来ました、そう伝えようかどうしようか迷っていたけど、実際にブースに行ったらろくにお顔も見られない人見知りぶりが炸裂してしまい、無言でただ買うひとになってしまった(もちろん、対面で売買するうえでの最低限の挨拶はしたけど、会話はまったくできなかったという意味だ)。
そのあとも同様で、必須でまわりたいブースを事前にマークしておいた地図を見て、次の地点へ移動し、ほしいZINEを求める。その繰り返しだった。チェックしていったもののまわりきれなかったブースもあるし、うかがったものの手元不如意により買えなかったZINEもあった。通販か、どこかの本屋さんか、どこかのイベントで出会えるといいなと思う(が、そのためには稼がねばならぬ)。
そんな状態だったもので、おふたりいらっしゃるブースでおひとりにしか話しかけていないこともままあった。話しかけるといっても「これください」とかだけど、それを誰に伝えるかはZINEの位置や自分の立ち位置との関係に拠るところが大きかった。「著者っぽいひと」「話しかけやすそうなひと」とかを選んだわけではない。なんせ私ときたら、ブースにいる方のお顔もちゃんと見られてないので。でも、もうおひとりを軽んじていると受け取られても仕方のないようなありさまだったと思う。あとで反省した。
あと、今回買ったZINEの大半は「これが買いたくて文フリに行った」なので、やっぱりそれだけでも伝えられたらよかったな。今回はせめて読んで感想を書くことにして、次にもしああいうイベントに行くことがあればもろもろちゃんとしようと思った。
文フリに行こうと決めた理由はもう1つあって、それはZINE販売イベントの空気にふれておきたいというものだった。ZINE販売イベントといっても主催や会場やイベントの設計によって全然違うものになるけど、一度は文フリ東京という場を見ておきたかった。その目的は達成した。次からは会場が変わるので雰囲気もまた変わるかもしれないけど。いろいろ思うことはあったけど、私はもうちょっと小さい規模のZINE販売や交換の場をつくれたらいいなと改めて思った。
チェックしてあったブースをひと通りまわったらほかのところも見てみようと思っていたけど、混雑するひとのなかで偶然の出会いを求めてぶらぶらする感じでもなく、体力もお金ももたなそうだったので、帰途についた。往路と同じくモノレールで戻ろうと思っていたけど、混雑する駅やバス停、駅にあったレンタル自転車を見て、京急の駅まで自転車で行くことにした。道に迷ったのと、返却場所が駅から少し離れていたのと、京急は各駅に乗ったので、時間の短縮効果はほとんどなかったけど、人混みでイライラするよりはよかった。
◆◆◆
帰宅して「光る君へ」を見たあと、いつもの積ん読を読む時間にさっそく買ってきたZINEを読んだ。
『沖縄平和ツアー』(文・イラスト:にろさ)
著者のにろささんが沖縄を訪れ、戦争と関係する場所をめぐった記録であり、ガイドブック。
それぞれの場所を紹介するスペースは大きくない。凝縮された短い文章で、にろささんが強く感じただろうことや伝えたいと思われたと思うこと、大事なことが伝わってくる。イラストも同様で、絞った表現だからフォーカスする力が強い。各ページにインパクトがある。
私は沖縄に行けることはもうないかもしれないけど、このガイドをとっかかりにして(遅ればせながら)ちゃんと本を読みたいと思った。写真じゃなくてイラストというのもよかったな。表紙も、それぞれの場所の名称(見出しにもなっている)も手書きなのもいいなあと思う。あと、デザインの力も感じた。ちゃんとデザインされた読み物、やっぱり伝える力が増す。私にはない力だーと(比べるのも失礼かもしれないが)思いながら読んだ。