猫とのコミュニケーション

猫はひとを呼ぶし、ご飯を食べたあとには報告に来るし、ここでなでてくれと誘導するし、その声にも目にもメッセージがこもっている。私と猫は、間違いなくコミュニケーションをしている。ということを、ふとした瞬間に意識することがある。今気づいたということではなくて、そういうことを強く考えることがある瞬間があるということだ。

コミュニケーションはいいときだけではない。猫と折り合わずケンカすることもある。そういうときは猫の怒りも感じるし、猫も私の怒りも感じているだろう。そんなときはしばらくの間、部屋を分けて物理的に距離をとる。猫からそうすることもあるし、私がそうすることもある。

今日もそんなことがあって、いつもは私のすぐ横の座椅子で寝ている猫が、しばらく隣の部屋で寝ていた(もっともそれは、この蒸し暑さによるところもあるかもしれないが)。そして数時間経ち、しずかに私の部屋に入ってきて、いつものように甘えて、ケンカは終了する。

今日は動物病院で定期検査があった。例によって、家を出て共用玄関を出る辺りまですごい大声で鳴く。帰ってきたらごほうび渡すから……。検査は「変わりなし」。何もないという意味ではない。進行していないということだ。それでもほっとする。

前にも書いたけど、この動物病院と私は相性がよくないこともあり、予約した検査の日の1カ月ぐらい前からうっすら緊張しはじめる。そして1週間前ぐらいからは腹の中にどっぷり重い石を抱えたようにして過ごしている。そして、帰ってくると全気力を使い果たしたといわんばかりにぐったりしてしまう。今日も動物病院との往復で今日の全気力を使い果たし、帰宅後はSNSのいいね/リポストをするBotと化していた。でもSNS(に映る地獄み)を眺めてると、それはそれで別の力を吸い取られるんだけどね。

◆◆◆

寝る前に歯を磨きながらSNSをスクロールしていると、月がきれいだという投稿をしている方がいらして、そういえばと部屋のカーテンを開けてみた。このぐらいの季節、このぐらいの時間になると、自分の部屋の窓から月が見えることを発見したのはわりと最近だ。

この家に越してきた当初、私は厚めの遮光カーテンにペラペラのレースカーテンをつけていた。夜は外から見えないようにカーテンを全部閉めていたけど、それだと朝もわりと暗くて日が昇っていることに気づけないので、途中からは消灯後に厚いほうのカーテンを半分だけ開けて寝るようにした。

ペラペラのレースカーテンは昼間は特に困らない……と思っていたが、冬の日中、低い位置にある太陽から日光が私の作業机にダイレクトに差し込んでくるのはわりと仕事に影響した。かといってカーテンを閉めて暗くするのはいやだなと思っていた。そんなとき、ホームセンターで手頃な価格の遮熱・遮像・採光レースカーテンがあると知り、購入した。それにつけかえると、冬の日差しはだいぶ緩和された。何より、夜もあわててカーテンを閉める必要がなくなった。そうするとあるとき、レースカーテンの向こうに月らしき光がぼや……と見えた。カーテンをめくってみると月だった。

……というような経緯で、自分の部屋の窓から月が見えることを発見したのだった。この家に住んでから数年後のことだった。私が不精だからというのも大きいけど、何年経っても発見はある(こともある)。そして今日の月は本当にくもりがなくきれいだった。

【今日読んだもの1】
『世涯ノ兎島ニテ幻覚ヲ見タルコト』(孤伏澤つたゐ・著)
https://yominomike.official.ec/items/86206037

帯に「書くこと、撮ること、読むこと/なにげなくおこなっている行為を/うたがいながら生きるということ」とある。どの編もここにかえってくるし、そのあとその「うたがい」が自分に向けられる内容だった。

私は文章を読み書きことができるし、自分で印刷してZINEのかたちにすることができる(有料で設備を借りられるというだけだが)。その力を使って何ができるんだ、何がしたいんだといった疑問を著者と交わし合ったような気持ちになった。

一番印象に残ったのは書店の編。私が小さい頃から一人暮らしを決めて地元を出るまで通い続けた本屋のことを思い出した。

あと、本文用紙自体も全体の厚みも、めくりやすくもちやすくてよかった。私もこのサイズでZINEをつくっているのだけど、厚みがないからめくりづらいというのはいつも気になっていた。この本文の用紙いいなあ。袋とじ、私もつくってみたくなった。

話がそれるけど、今回の文フリでこのサイズのZINEをちらほら目にした。中を見てみると文字サイズがそれほど小さくないものが多くて読みやすかった。

私もそんなに小さい字にしたくないなと思ってこれまで3号つくったのだけど、そうすると入れられる文字量が減ってしまう。そのためにそぎ落とした部分がいろいろあって、次はどうしようかなと思っていた。
今つくっているネップリは、それもあって、思い切って文字をかなり小さくしているのだけど、毎号迷いがある。

そんな逡巡をもちつつ今回文フリでいろいろ見て、このサイズのZINEではやっぱり字を小さくしないままにしようかなと今のところ思っている。字の大きさをどうするかは、結局、誰に届けたいかということなんだよな。

【今日読んだもの2】

健診脱衣は「校医次第」 対応異なる横浜市立学校、児童や保護者「嫌悪感」(神奈川新聞、2024/5/24)
https://www.kanaloco.jp/limited/node/1080192

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