夕方、寝ていた猫が起き出してきた。けど、ご飯にはまだ早く、実際おなかも空いていないだろうと思う節があったので、少し遊んだ。そのうち別の部屋でひとりで探検を始めたので、お役御免かなと私はそっと机に戻った。するとものの5分もしないうちに、
ぷるにゃーん
ぷるにゃーーーん
ぷるに゛ゃーーーーん
と鳴きながら猫が部屋に入ってきた。その足音の立て方といい顔の表情といい、何より鳴き声。まるで日本語字幕がついているようにわかりやすい意思の表明だなと笑ってしまった。
せっかく仕事がひと段落したのに、時間を有意義に使えていない焦りがある。あんなにしたいことがあったはずじゃないか。すべきこともあったんじゃないのか。それなのにどうして私はこうして机に向かってうだうだしているのだろう。忙しい時期と時間をうまく使えない時期の繰り返しばかりでいやになってしまう。
そんななか、プリンタのインクが500円も値上がりしていることを知った。純正のインク、4000円近くするので買うタイミングを選ぶのだ。先月買おうかどうしようか迷って、1カ月保留にしたのがよくなかった。値上げの可能性に考えが至らなかった私が浅はかだった。今のプリンタ、印刷時のかすれがなかなか改善せず、買い換えも考えていたところだった。それもあってインクを買い控えしていた。こうなれば本格的にプリンタの買い換えを考えるか。さもなくば値上げされたインクを買うしかない。もうその二択しかない、とわかっていても、心の中で後悔がジタバタする。
今年に入ってから3カ月近く生理のない時期があり、「これが、閉経の前に来るという周期が長くなるやつ……!」と喜びに打ち震えていたのだけど、その後は普通に来るしなんなら周期短いぐらいで、「ぬか喜びさせやがって……!」と毎回怒りがわいている。
それだけ、生理のない状態は本当に楽だった。腹痛をはじめとする体調不良は多少あったものの、トイレに行く時間間隔を考慮しなくていいし、いつ無防備に横になってもいいし、どんな服を着てもいいという、この拘束のされなさの圧倒的解放感ったらなかった。自分の若い頃に「生理を止める」という選択肢を知っていたら、大げさでなく人生は変わっていたと思う。
自分の周囲にいる小さきひとには、リプロダクティブ・ヘルス/ライツも、生理で人生に絶望しない方法も、あるということを伝えたいとずっと思ってるし、大人として日本の女性医療が少しでもましなものになるようにしたい。「無痛おねだり」みたいなクソにぶちあたることがあっても蹴飛ばして生きてほしい。
【今日読んだもの】
『調べる技術』(皓星社)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784774407760
思ってたのとちょっと違ったな……というのが第一印象。
あることに長けた方がいて、その技術を明文化しようとするときに、最初から整然とした文章になることはそれほど多くはないのではないかと思う(その方の文章化の慣れにもよるけど)。むしろ豊富な経験があり技術に長けていればいるほど、説明したいことがあふれ出て話がいったりきたりして混沌として、聞いてる側からすると「??」となってしまうこともままある。
——そういう感じをこの本からは受けた。伝えたいことがたくさんある著者なんじゃないかと、そのあふれる熱意のようなものは受け取ったものの、肝心のTIPSがその熱意にまぎれて見えにくくなってしまっているような。
著者の伝えたいことをどうまとめどう見せるかを考え提案するのは主に編集の仕事であり、この本も編集が違っていたらもっと違うものになっていたのではないだろうか。わりと口語トーンが多用された文章をもうちょいなめらかにするだけでも見え方は違ったのではないか、私の読解力が追いついてないだけかもしれないけど、そういう印象をもった。