さまざまな春

■金曜日
腰痛はまだ確実にいるが、その痛みが減っている実感はある。そこでリハビリがてら、和菓子屋さんに草餅を買いに行った。とろとろ運転なら自転車ももう問題ない。
私の大好きな和菓子屋さんでは、草餅はだいたい4月上旬で販売終了する。中旬から柏餅シフトに移行するためだ。その時期は近いと考えていたので来週はまだ草餅はあるだろうかと尋ねたところ、「この週末で終わりかなと思います」ということだった。はかない。でももう4月だものな。
確定申告や腰痛でなかなか買いに行けなかったが、代わりに妹に買ってきてもらうなどして、今年はわりとたくさん草餅を食べることができた。冷凍庫にもまだちょっとだけ残っているし、今年はこれで終わりだと腹をくくろう。今年もおいしかったです。

私の家と和菓子屋さんの間には毎年ツバメが来るツバメスポットがあるのだけど、この日の帰り道も飛び交うツバメたちを確認できた。
3月はまるで動けなかったので、来たばかりなのかもうだいぶ経つのかはわからない。見た感じではまだ大人だけのようだった。でも、同県内の近隣地域で今年のツバメを発見したというニュアンスのツイートを見たので、もしかしたらまだそれほど時期は経っていないのかなと思う。

このツバメの大人たちは、去年ここから巣立った子たちなのだろうか。ツバメの生態に詳しくないので想像上の疑問を書いているけれど、このツバメたちがどこ出身であっても、今年も巣を作れる場所があってよかったと思う。
私は来年もこの草餅を買いに来ることができるだろうか。1年後の自分がどうなっているかまるで予測がつかないというのは、なんとも心細い。

■土曜日
この日は羊毛のボールづくりに挑戦したが、姪的には「思ってたのと違う」となったようだった。
そもそも大人でも、羊毛のボールづくりって一見簡単そうでそうでもない気がするんだよな……。できるだけ簡単にできる手順を用意したつもりだったけど、この日ははまらなかったということなのだろう。こういうのは当人の当日のコンディションやテンションにもよるし、経験しないとわからないことなので、結果そうなるのはこちらとしては全然問題ない。ただ、楽しくなかったなと思わせてしまったら申し訳ないなと思うところはある。

午後は散歩に行った。
冬の間は外に出られなかったけど、暖かくなりはじめて姪とちょこちょこ歩いてみると、歩ける距離がかなり伸びている。以前はすぐ「だっこ〜」となったけど、今はもう自分でさくさく歩けて、「ちょっとそこまで行ってみよう」と誘うハードルが相当低くなった。

この日は、風や鳥が落とす桜をつかまえる遊びをした。といってもつかまえられはしなかったが。
この日はどの公園も子供が多かった。午後で天気もよかったからだろう。姪が渡れるようになりたいと思っている雲梯を何度も往復する子供がいた。途中からはおそらくこちらに見せつけていたのだろうと、私には感じられてつらかった。雲梯はどう教えたらいいのだろうなあ。
夕方姪が家に帰るのを渋るかどうかを、「姪は今日楽しく過ごせたか」を測る一種のバロメーターにしているが、この日はわりとすんなり帰った。あくびもしていたし、散歩で疲れたのだろう。

夜は、姪が描いた絵をPhotoshopで加工してTシャツにする作業をしていた。
絵の背景を透明にして絵の部分だけが印刷されるようにするのは、手作業で時間がかかるが没頭できて楽しい。楽しいからといって何時間もこれやってていいのかという気分にはなるが。

■日曜日
仕事が立て込んでいない週があったら、翌週以降の仕事を前倒ししておいたほうがいい。そうすれば新しい仕事の依頼があったときに応えやすくなるし、自分で試したいことに時間を使うこともできる。ただそれは、空き時館に仕事を詰め込んでしまうことにもなり、その結果としてインプットや自己の振り返り、今後の準備などに時間を使うことができづらくなる。このバランスの取り方が下手くそだという認識が、自分にはある。

前日の土曜に、私のフェルト作品を好ましく思ってくださる方がいるということを聞いた。お世辞含みかもしれないが、購入できるサイトはないのかと尋ねられたということだった。
これは本当にうれしいことだが、残念ながら今すぐ販売できる在庫はない。試作どまりで販売用の作品をつくれていなかった。じゃあひとまずポートフォリオでもと思うが、それもない。代わりにInstagramと販売サイトの過去作品ページを紹介した。

こういうときに、前述の「バランスの取り方の下手くそさ」を痛感して後悔する。チャンスの神様は前髪がどうのこうのというやつではないが、実績にしろ在庫にしろ形がなければ機会を獲得できない。嵐のような激しい後悔ではないが、静かに穏やかにひたすら悔いてはいる。手を動かし続けていなければ、得られないものはあったのだ。
この後悔が新鮮なうちに、今度こそ、手を動かし続ける生活を構築するんだ——。そう思った翌週に、今度は「前週に前倒ししなかった仕事」がそこそこあるという状況を迎えるのがこれまでのあるある。今回もそう。でもちゃんと、それとこれを両立させよう。

この日は折しも日記に関するイベントが開催されていたようで、「ちゃんと日記を書いていた人たち」がイベントを楽しんでいた様子がSNSで垣間見られた。これも、日記を書き続けられなかった自分は指をくわえて見ているしかなかった一例だ。継続は大事。継続のためには気合いだけでなく仕組みが必要だ。

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