生活

畠山理仁さんの選挙取材の様子をネツゲンが取材したNONFIXを見た。いいドキュメンタリーだったと思う。けど冒頭で、ある候補者のLGBTQに対する差別言説をそのまま流したところで大きい骨がぶっささった気持ちになり、そのまま最後まで見ることになったので、感情としてはあまりよくないものが残った。
該当箇所は4:00〜4:30辺り。ただし、そのその直前の3:30〜4:00辺りには代理出産のツイートで不用意な(当該人物にとっては完全に用意した主義主張に基づく言説だったのかもしれないが)さいき某も出ており、ひっかかる発言もあったので、用心を期すならばこの1分間はとばすことをすすめる。

選挙活動の場を差別・排外言説の流布に使っている候補者が(少なからず)いることを報じることは意義がある。ただしそのためには、「差別・排外言説はNOだ」ということをセットにして、番組が「差別・排外言説への加担」とならないようにする必要がある。
何より、差別・排外言説の対象となっている当事者が、その内容の閲覧可否を自分で選べるようにする必要がある。身構えずに見ていたら突然差別発言が出てくる。これは相当くらう。「そういう候補者がいる」で流していいものとそうでないものがある。最低限、番組として事前にアラートを出しておく必要がある。

そのことは置いといて、とはできないが、全体の内容はよかった。
番組の前半は2022年参院選の取材、後半は同年沖縄知事選の取材で、後半が特によかった。畠山さんによる候補者の見立ては、長年取材してきた方ならではのものだと感じ入るものがあった。何より、辺野古の座り込み抗議活動の意味、意義が当事者の方から語られるところは、多くの方に届いてほしい内容だった。座り込みという抗議活動があるからこそゲートは1日3回しか開かず、そのために出入りするトラックの数は限られ、工事を遅らせることができるのだという、こうして要約してしまうことが憚られるような、大切な当事者の語りだった。

中盤だったか、畠山さんのご家族へのインタビューもおもしろかった。選挙取材をする畠山さんではない、家族の一員としての畠山さんが、ご家族から語られる。その語り口にはいろんなものがにじんでいたけれど、「(特に社会的に)意義ある仕事をすること」と「家族の一員として在ること」との両立の難しさ(少なくとも「よさ」だけではないもの)を思わせるものはあったように受け取った。もっとも、どんな種類にしろ、葛藤のない家族などないだろうけれど(畠山家に葛藤があるかどうかもわからないよ、念のため)。
終盤では、インボイス制度がフリーランスの活動停止や廃業を促している様子も(一瞬ながら)浮き彫りになって、インボイス制度断固反対の気持ちを強くするなどもした。

そういう内容だっただけに、何の事前アラートもなく、また差別言説に対する注釈もなく、ある候補者の差別言説を垂れ流してしまっていたのが残念だった。飲み込めなかった。だから私はこの番組のTVerのURLをツイートすることはできなかった。身構えず見ていたら差別言説が垂れ流される番組を、私はネットの海に流せない。誰でも殴られるような思いをせずに見られる、気兼ねなくURLをツイートできる番組構成になっていてほしいと心底思った。冒頭のあの約1分は、それを阻害するだけの重さがあった。

これは徹頭徹尾、番組に対しての意見。畠山さんの仕事が注目され評価されることも、ネツゲンがすぐれたドキュメンタリーを制作することも、すばらしいことだと思っているので。

◆◆◆◆◆

そんなようなことをツイートしていたら、「入管法改定案を明日(6/1)採決しようと自民党がもちかけた」的な通信社の一報が入った。
でたらめにつぐでたらめが発覚し、立法事実に対する疑義が呈されている今、よくもまあ採決を提案できるよ。本当に恥知らずは強い。こちらは抗議するしかない。そこからはずっとFAXを送ったり報道を読んだり反対のツイートをしたりしていた。

夕方には「難民懇と有志メンバーによる政府案入管法改悪反対に関する意見緊急交換会」が急遽開催されたとのことで動画を追いかけ視聴していたが、まったく審議継続すらできるような状態じゃないということがよくわかる内容だった。ましてや採決など。
後半で鎌田さんや石川さんが指摘されているように、誤った「立法事実」をもとに審議を進めさせられ、衆議院で可決させてしまったことはものすごく重い。政治家や官僚が市民を欺いている。本当にとんでもねえことだよ。その「とんでもなさ」がよくわかる会だった。
この会について「入管法改定案の問題が端的によくわかるから見たほうがいい」と投稿されている方がいたのも納得の内容。入管庁の応答がひどいけど、見られる方は見たたほうがいい。

あと夜は、Dialogue for Peopleの「Radio Dialogue」思い出野郎Aチームの高橋一さん回を見たり、「地方議会いろはのい」さんのスペースを聞くなどして過ごした。
高橋さんのお話はすごくよくて、先日のスピーチと合わせて多くの方に聞いてほしいものだったし、「いろはのい」さんのスペースも人民による社会運動の様子がとてもよかったけど、それはそうとして悪政がひとの命や人権を危険にさらしていると同時に、自分の生活をあらゆる方面から阻害しているなということを痛感する1日だった。ZINEのことなど全然考えられなかったしそんな場合でもなかった。
私にできることなどたかがしれていて、私が心を痛め思いを馳せたところで何になるかといわれればそのとおりかもしれないが、私にとってはそれどころではない話なので、これは。多くの人にとって本当はそうだと思うけど。

まあでも、まあまあ猫かまったし、Qoo10メガ割で買うべきもの第1弾を注文し、こうして日記も書いたからえらいよ。そう思うことにしよう。明日からはまた賃労働だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です