申請の記録

少し前に、国民年金の免除申請をした。以下、公式サイトや問い合わせで確認した情報を記録しておく。

国民年金の免除制度は、収入の少ない年があった場合に国民年金の保険料を一部または全部支払わなくてよくなるというものだ。支払わなくてよくなるが、免除された分は将来老齢年金を受け取る際の計算にきっちり反映されるので、つまりその分受け取る額が減るということになる(10年以内に、免除されていた分の保険料を追加で納めれば、プラスマイナスゼロになる)。

免除の適用を受ける条件は、ある年(1月〜12月)の所得(収入−経費)が一定以下であること。所得額によって免除される割合が異なる。単身世帯の自分は自分の所得のみで計算すればよいが、世帯主が自分以外である場合や配偶者がいる場合は条件を要確認。

ここまではわりと理解しやすいのだけど、ややこしいのは期間だ。
判定基準となる所得は「1月〜12月」の1年のもの。だけど、免除が適用される期間は「7月〜翌年6月」の1年間。例えば2022年(1月〜12月)の所得が少なかったので免除を受けようと申請して適用された場合、免除が適用されるのは2023年7月〜2024年6月となる。そして、この期間の免除を申請できるのは2023年7月以降だ。この時系列を理解しておく必要がある。

ちなみにこの免除制度はいつでも申請できる。ただし申請するタイミングによって、免除適用期間が変わってくる。
例えば2023年8月分まで支払った状態で「保険料の支払い負担が厳しいなあ……そういえば私、2022年の所得が少ないんだった」と気づいて申請した場合、その申請時点で審査がなされ、条件に合致した場合はその時点で最短のタイミングから免除が適用される。ただしその場合、すでに支払っている2023年7月分と8月分は免除が適用されない(したがって返金などもない)。
2023年の初期の段階で「2022年の所得が少ないこと」を認識しているのであれば、2023年7月に申請するのが一番いい(免除適用期間を最長化できる)ことになる。いきなり申請するのが不安であれば、7月になる前に年金事務所に相談してもいいと思う。

では、2024年4月現在のいま、私が「2023年(1月〜12月)の所得が少ない」と認識していたら、どうするのがいいか。この場合、免除の適用を受けられる期間は「2024年7月〜2025年6月」で、その申請受付開始は2024年7月になる。
ちょうど先日、2024年4月分〜2025年3月分の国民年金保険料納付書が届いたけれど、この4月分〜6月分は免除対象外ということになるので、納付書に書かれた期限通りに支払う。6月分の支払期限が7月末なので、7月あたまに免除申請をして審査結果を待ちつつ、6月分を月末に支払うと、そういう流れになりそうだ。

それと、この制度を利用するにあたって留意すべきは、免除が適用されている期間は付加年金や国民年金基金を利用できないこと。
私は付加年金に加入しているが、免除適用期間は付加年金を支払うことができない。「国民年金保険料(本体)は一部免除にしてもらって、付加年金は従来通りのせて支払います」はできないということだ。

ただし、付加年金の加入自体は無効化されるわけではなく、免除適用期間が終わればまた再開される(逆にいえば、付加年金を恒久的にやめたければ、その旨の申請をする必要がある)。そして、これまで支払ってきた付加年金も有効なままで、あくまで「免除適用期間中は付加年金を利用できない」ということだ。付加年金の追納が可能かどうかは確認していないが、おそらくできないと思う。

——国民年金の免除制度はだいたいこんな感じだ(と理解した)。

私は今回免除申請が通り、数カ月分の国民年金保険料が一部免除になった。申請書を郵送して、受領印を押した控えが戻ってきたのが1週間後ぐらい、審査結果の通知はがきの発行日付が3週間弱後ぐらい。
その通知より数日早く、「あなたは○年○月分から付加年金を利用できなくなりました」というような通知書が届いた。そこには「国民年金保険料の免除が適用になったから」というような直接的な文言は書かれていないので一瞬驚くが、おそらくそういうことなのだろうと推測した。
免除が適用されると、免除後の金額の納付書が発行されることになるが、それは申請後1カ月強が経過した今もまだ届いていない。時期的なものなのか、いつもこのぐらい時間がかかるのかはわからないけど、私の場合はだいたいこんな感じの進行だった。

制度のことをもっと早く調べておけば、数カ月ではなく丸1年(12カ月分)の保険料に適用を受けることもできただろうに、と思うと自分の腰の重さをうらめしく思うところもある(もっとも、冒頭にふれたように免除された分は年金受給額が減ることになるので、そのまま喜べはしないわけだが)。

でも、自分でやってみて思うのは、制度を調べて申請するのはハードルが高いよということだ。毎年の確定申告でも思うが、行政が発行する難解な文書を読み解き、制度を理解するのは容易ではない。
国民年金の保険料の支払い負担を重く感じるというのは所得が少ないからであり、つまり多かれ少なかれ生活に困っている状態なる。その状態が深刻であればあるほど保険料免除などの救済措置の必要性は増すなのに、深刻であればあるほど制度へのアクセスは困難になる。わからなければ問い合わせをと言っても、問い合わせ電話番号が30秒10円のナビダイヤルなんてことも珍しくないし、直接出向いて質問するような時間の余裕もない。

国民年金に限らず、福祉と申請主義は著しく相性が悪い。理解の難しい制度を自分で調べて申請しないと適用を受けられない申請主義では、困っている状態にあるひとほど適用を受けることが難しくなるのだから。この免除制度だって、条件に合致したら自動で免除にするか、最低でも「あなたは条件に合致してますよ」と知らせるぐらいすべきだろうと思う。真にひとの生活や尊厳や人権を支えようとするならば。

【今日読んだもの】
福島みずほ、半生を語る。議員生活25年、その原動力と知られざるエピソード(社民党、20234/19)
https://sdp.or.jp/information/special-interview-with-mizuho-fukushima-the-25th-anniv/

およそ1年前の記事。昨日から始まった朝ドラ「虎に翼」の流れでだと思うけど、「福島みずほさんの人生も朝ドラになりそうだ」としてこの記事がSNSに投稿されていたのを改めて読んだ。

〈政治の重要な役割は人を幸せにすること。法律を作る醍醐味も大きいですが、国会にいると、交渉したり、質問したり、資料を集めたりすることによって制度や社会を変えられることがあります。
国会議員じゃなくても、選挙の時だけじゃなくても、本当は全員が主権者なのだから、実は社会を変えられる力を持っているんです。人を幸せにするための政治を、みなさんとこれからもやっていきたいです〉

福島みずほ、半生を語る。議員生活25年、その原動力と知られざるエピソード(社民党、2023/4/19)

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