動画や音声をテキストなしで理解することの難易度が増している感じがある。ドラマもドキュメンタリーも報道も、ながら見は完全に無理になった(BGMにするならありだけど、そうなるともう「見」じゃない)。真面目に見たい、聞きたい、知りたいと思うものは、仕事の手を止めて神経を傾けていないとちゃんと理解できない。
そもそも、「ながら」で「ちゃんと理解でき」ていたと思っていたのが過信で傲慢だったんじゃないかとも思う。ただ、今は、全神経を注いで全部を見聞きしても、取りこぼしている部分があるような気がする。
なので、「今日の回よかったなあ」と思ったときに、その感想をうまくツイートできる気がしない。ましてや総括して批評したりできてない。「ここが印象的だった」「こういうことを改めて理解した」みたいな断片的な話になってしまう。
そんな内容なら何も急いで書かなくても、無理して書かなくてもいいんじゃないかというのはまったくもってそのとおりなのだけど、この有意義な内容の存在を幾ばくかでも人に伝えられたらと思って、あるいは反響の一つになれればと思って、Twitterのどぶに笹舟を放流してみたりする。何より単純に、いいと思ったものの話はしたいじゃん。
その結果、「理解できてないんじゃないの」みたいなクソリプが寄せられると、まあまあダメージがある。私はふだんからブロックを多用しているし、声の小さい一個人に過ぎないので、数多の著名な方に寄せられるであろうクソリプの質・量に比べたら微々たるものだろうけど。
で、そういうクソリプがきたときも、まあうるせえよと思ってブロックするんだけど、その一方で、自分の流した笹舟がそういうふうに受け取られたということは、技術的な観点での反省としてはすくいとって眺めはしたほうがいいのかなと思う部分もある。対話できる相手じゃないという諦めがあるからシャットダウンするだけであって、議論できる場で議論できる相手となら、こうはならなくて、本来はそれが理想であるものだから。人間どうしなら。
ただ、そういう「ネトウヨやネオリベに響かせる技術」を磨いたとて、私はそれをどこで使うのだろうとも思う。使いたいと思うことがあるのかとも。
日本で暮らす人の多くが困窮の一途をたどっているのにそれを救おうともせず、「防衛費」増強のために毎年1兆円増税しますといってのけるような政治を滅ぼすためには、それに反対する声をエコーチェンバーの外に広げないといけないというのは理解しているけど、「賛成53%」みたいな報道を前にどうやったらそれができるのかちょっとわからないでいる。
あと自分は、人間全般というものに対する信頼や愛情というものが基本的に欠落している自覚がある。
人権を尊重し誠実を価値あるものとして生きていけるような教育がなされていないという構造や、政治のために人が貧しい思いをしているという構造、それ自体を批判して変えていかないといけないことはわかっているつもりではある。けれども、目の前にいる差別言動者、排外言動者、そういうものを容認する政治の支持者に対して対話をしようともちかける気になるかというと、まったくそういう気は起こらない。もしも、自公支持者と非支持者で国を分けてくれるというならば喜んでと思ってしまう。そういう私が「技術」を身につけたとて、何になろうかという気もする。
人を人として尊重できる人、話ができる人との人間関係はとてもうれしい。そういう人との対話の「技術」はもっと身につけたいけども。
ひとつのクソリプから、そんなようなことを考えていた。
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仕事がひと段落したので、買い物に行った。チョカの誕生日祝いはもうおおむね準備が済んだので、気持ちとしては年賀向けの買い物のつもりであったが、町はまだだんぜんクリスマスモードであった。どれもかわいくて飾りたくなるけど、財布のことを考えると手が出ない。
そのように歯がみしつつ、いくつかのものを自分のために買った。血反吐を吐く思いでうなりながら財布からお金を出したけど、買ってよかった。
私は大仰にいえばつくり手でありたいので、ぬいぐるみもハンドウォーマーも買うことに抵抗がある。今日もあった。自分でつくって使いたいし、そうやって経験を積んで上達したいし、それを仕事にしてもいきたいので(今日の抵抗は、それプラス金がないこともとても大きかったけど)。
ただ今日は、もうどうにもしんどくなって、特にうさぎはもう1年ぐらい迷っていたので、もういいだろうと思って買ってしまった。結果、買ってよかった。
「ひもじい 寒い もお死にたい 不幸はこの順番で来ますのや」というマンガのセリフがあるけど、この「寒い」の部分がこのうさぎたちによってあっためられたなという実感がある。
うちの猫は手をなめたり甘噛みしたりするのでマニキュア塗るのをやめてしまったのだけど、手元に色があるのってすごくいいなと思う。明日からは、仕事をする視界のすみっこにこの蛍光オレンジやブルーが入ると思うとあがる。
ところで、この買い物行脚の最初のほうで、スーパーでのタイムセールに遭遇した。まるまるした大根、キャベツ1玉1、かぶ1束、ブロッコリー、これらが全部100円だという。これは買わないわけにはいかなかった。そのあとの肩はなかなかにしんどかった。
そうして持って帰ったら、「最近大根安いよ」と母にあっさり言われてしまった。私が先週スーパーをのぞいたときはけっこう高かったけど、いやまあ安いならいいですわ。大根食べ放題やったるわ。