刈り上げ

確か今日は10時半ごろ起きた。9時過ぎに一度、猫が起こしに来たけれども、ハードなものではなく寝直した。ご飯を食べて、猫と遊んで、美容院で「こんな感じで」と頼むためのサンプル写真を探したら、ちょうどいい時間になった。

髪は少し刈り上げることにした。もう何年も基本は短めショートで少し前からはブリーチもしているのだけど、さらに短くしようと思った理由は先日来の一件があったからだ。
あの野郎と最後に会ったのは1月で、それ以降はメールでのやりとりであったけれど、結局こういうことになったのはなめられているからなのだ。ほかにもいろいろあるけど、こちらのことを(さらにいえば、わたしが手伝っていた関係者のことも)なめていなければ、こんななめた真似はできるわけがない。その怒りからの気分転換と、威嚇効果を、刈り上げに求めたというわけだった。

頭はものすごく軽くなって、色もきれいになって、久しぶりに爽快感を得ることができた。帰り道、自転車をこぐ足もスムーズに回った。その調子で、たまたま見かけた八百屋さんの出張トラックに立ち寄った。今となっては貴重な八百屋さんであり、店主の口調も軽快で、いい出合いだと思ったのだ。

けども、その店主が、若さと外見をテーマとしたお世辞を言うタイプだった。当然、思ってもいないことがあからさまなやつ。しかもなれなれしく指でつついてくる。最後の「また会えるといいなあ」までまるごと気持ち悪かった。その言動が不快である旨を明確に表明できなかったのは、わたしが浮き立っていた気持ちのままでいたから、というのは言い訳だ。そういう自分に対する後悔や、刈り上げたばかりの頭が何の威嚇効果をももっていなかったことまで含めて、最後の最後に本当に嫌な経験になってしまった。

あとをひいているというほどではないので、おそらく明日になれば薄れるだろう。ただ、こんなちょっとしたことですらこんなに嫌な思いをしているのだから、もっとつらい思いをしている方のつらさはいかばかりかと思うし、今後姪が大きくなっていくにつれてどれほどつらい思いをするのかと思うと、本当にいたたまれない思いになる。

こないだ姪が来たとき、じじ(わたしの父)と楽しく遊んでいたのに突然泣き出す瞬間があった。どうしたのかとたずねると、遊んでいる過程で身体の接触があり、それが嫌だったのだという。じゃれて遊んでいて、その直前には姪自身がじじに馬乗りになったりしていたので、じじにしてみれば「??」となるのも無理はないかもしれないが、ともかく嫌なものは嫌なのだ。わたしは、嫌なことを嫌だとちゃんと言える姪をすごいなと思ったし、その調子でこれからも育ってほしいと思った。そんなことをえらそうに考えているわたしが、あんなしょうもない店主との遭遇でうじうじしているのは、なんとも情けないことだ。次はモヒカンにでもするか。それで多少なりとも武器になるなら。

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