感想

今日のポリタスTVで、津田さんがインボイス制度に関する自身のスタンスを語る場面があった。
番組のテーマは、書籍『希望の共産党 期待こめた提案』の内容と、そこから派生して「日本政治と野党共闘の未来とは」という話で、インボイス制度とは直接的には関係ない。その書籍の中で、浜矩子氏が「日本共産党の掲げる『インボイス制度反対』に対する違和感」を挙げているそうで、それを受けての発言だった。以下、該当部分を書き起こす。

実はやっぱりインボイスは結局、もともとね、これ、最初に消費税を3%を導入するときに、まあ反対が大きかったので、そこで簡易課税方式とか免税とか非課税方式みたいな、まああの、格差をなるべくあの、縮小しましょうみたいなものを、煩雑な方式を入れちゃったことによって、それによってやっぱり、税務が複雑になっちゃったっていうのがあるわけですよね。で、インボイスをやると確かにそういう面倒くさいものが原理原則でシンプルな会計にできるっていう、そこのチャンスではあるので、実はだからインボイス、やっぱりその歪みが出ているので、この機会に是正するのは、それ自体は妥当な選択だと思いますと。まああの、インボイスについてですよね。で、やっぱり、消費税から税収を上げてまともに機能できる財政を実現する。で、それを補助するためにもインボイスを使っていく、っていうので、ここはやっぱり浜さんがエコノミストならではの視点で、共産党に対して注文を入れているというところで。

これはいろんなね、意見あると思いますけれども、僕はどっちかというとインボイスも、何だろうな、あの、この番組でもね、やっぱりインボイス、何度か、取り上げてくれっていう意見がたくさんあるんですけれども、僕はやっぱこれ、浜さんの意見に近いんですよね。やっぱりインボイス、問題、個別には問題たくさんあるんだろうけれども、やっぱり今までおかしな状態がずーっと長く続けていて、それを確かに1回リセットしてちゃんとするっていうためにね、たぶん必要なもの。だってやっぱり、そういうやっぱり、欧米の会計基準とかとやっぱそろえていくのであれば、まあインボイスやったほうがいいんじゃないのっていう、思うところもあるので。まあその意味では腑に落ちる意見でもありましたね。

ポリタスTV 2023年1月18日

これは〈『希望の共産党』から考える日本政治の今後〉というテーマからは外れる内容であり、インボイス制度についてきちんと語ろうという場面で語られているものではない、という前提はある。あるけれども……私がポリタスTVを見てきたなかでの体感からいえば、当該番組におけるインボイス制度に関する言及として、これはかなり長いほうだったという感覚がある。その内容がこれだった。根拠はふわっとしているが津田さんが「賛成」であることはわかった。それしかわからなかった。

賛成・反対が分かれることはしょうがない。でも、せめて内容を把握したうえで「賛成」してほしい。ジャーナリストとしての発言ならば、その言及は「雑」にしてほしくない。

「インボイス、問題、個別には問題たくさんあるんだろうけれども」という言及が、「問題があるっぽいことはなんとなく認識している(が個別のことは把握していない)」ということなのか「問題を個別具体的に認識はしていて、『そういう問題あるんですよね、それがあるのはわかってるんだけど』と言いたい」ということなのか、この言葉だけではこちらは判別できない。でも私には前者に思えた。

問題を個別具体的に把握していたら、「確かに1回リセットしてちゃんとする」などというようなことが言えるのかなって。
問題を理解していたら、「1回リセット」のために、これまで回っていた経済がどれだけつぶされるか、どれだけの死人が出るかをいやでも想起するんじゃないかなって。
それを想起したらそんなふうに言えるのかな(言えないんじゃないかな)って。
「1回リセット」のために、日本の零細事業者はもちろん、価格を転嫁される消費者も、価格を転嫁できずサービスが絶えていくことの被害を被る消費者も、めちゃくちゃ困る(「困る」で済めばまだいい)ことになりますけど、それ知っててもこれ言えますかって。そう思った。
「今までおかしな状態がずーっと長く続けていて」もしかり。

インボイス制度は今日のテーマの話じゃない、ということは最後に津田さん自身が言っていたけど、それでもこれだけ言及したんだから言いたかったんだろうな、とこちらは受け取った。
「腑に落ちた」ことをRTするみたいに、言いたかったんだろうなと思った。自分の番組だから、言いたいことを言えばいい。でも、それがこれだったことが、私はとても残念だった。

だったらもっと前に、去年の秋ぐらいに「インボイス制度を取り上げようかどうしようか迷ってる」みたいな話をしたときにでも、あるいは浜田さんの回でインボイス制度の話が出たときにでも、そういうスタンスを表明してほしかった。「賛成」だから残念なのではない。「雑」に語られたから残念だった。消費税の話でいうと、伊藤周平さんが出演された回はとてもよかった。のに。

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