チョカが来ない土曜日。半日はダラダラといつものように過ごしつつ、半日はベアの続きを進めていた。
もともとは、昨年のチョカの誕生日にプレゼントするはずだったのが、「年明けには」「卒園式には」とずれこみずれこみ、今は「3月中には」として進めている。さすがにこのデッドラインはもう逃せない。やらなければいかん。私のためにも。
ベアをつくる作業は楽しい。
ただ、十数年前に教室で習ったときの資料をひっぱりだすと、「あのときの人生がもしもあのまま進んでいたら……」という妄想にひっぱられてしまいそうになるのがつらい。
あのときはあのときで、さびしさで追い詰められていた毎日だったし、その後も会社や人間関係にいろいろなものを搾取されていたし、その時間でいろいろなものを失ってもきた。「あのまま」が続いていたとしても幸せだったかどうかはわからない。それは今でもそう思っている。
それでもまあ、得たものも当然あるからこそ、ないものねだりはしてしまうことがある。
そういうときに自分をなだめるワードの一つとして、「でも、あの先生の教室には、お金さえあれば、今からだって通うことができるよ」というのがあった。
でも近年、教室のWEBサイトを拝見していると、もう別の方が講師としてたたれているカリキュラムも多く、あの先生に直接習えることがもうない可能性もあると気づいた。時間は確実に流れてしまった。
今の私には、手からこぼれてしまった砂を眺めて悲しむ余裕すらない。もうとにかく、今はただ目の前のベアを完成させるのみだ。
(3月4日の日記を、3月9日に記述したもの)