ある3月5日の日記

数日前にSNSで、ある人にレスポンスをしたことがあった。相手は複数で、フォロー・フォロワー関係にある人もいれば、自分が一方的にフォローしている人もいた。
そのいずれでも自分が「失敗」していたことがわかって、久しぶりにわりとしっかり泣いた。

特に、これまでフォロー・フォロワー関係にあり、一定の「いい距離」を保ってこられた、と私が勝手に解釈していた人に対する「失敗」は、その苛烈な反応も含めて衝撃が大きかった。
私が書いた内容のどこが「失礼」なのか、これが「車間距離」を保っていないものなのかと、最初は意味がわからなかった。フォローを外されエアリプで「お気持ち」として言及されていたことにも怒りがあった。

でも、自分のしたことが「マンスプレイニング」だと受け取られたのだ、という解釈を補助線にすると、その人の「お気持ち」がスッと紐解けたように思った。


〈参考資料ここから〉

マンスプレイニング(goo辞書:デジタル大辞泉(小学館))
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0/

マンスプレイニング(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0

マンスプレイニング|女性に説明したがる男性の心理と具体例を解説(Ethical Choice、2021年8月16日)
https://myethicalchoice.com/journal/sustainable/mansplaining/

その行動は必要とされている?立ち止まってみよう

反対に、自分のふるまいや発言がマンスプレイニングに当てはまるのか気になる方へ、ご自身がマンスプレイニングをしているのか確認できる質問をご紹介します。

1.相手から質問を受けたのか?
2.説明しようとしている分野について、自分が相手より経験があるのか?
3.相手は説明が必要なのか確認したか?

説明や説教、自分の意見を伝える前に、上記の3つの質問を心に思い浮かべて見ましょう。
これら以外にも、場の雰囲気なども加味し、話始める前に一呼吸置いてみることをおすすめします。

マンスプレイニング|女性に説明したがる男性の心理と具体例を解説(Ethical Choice、2021年8月16日)
https://myethicalchoice.com/journal/sustainable/mansplaining/

Mansplaining, explained in one simple chart(BBC、2018年7月30日)
https://www.bbc.com/worklife/article/20180727-mansplaining-explained-in-one-chart

〈参考資料ここまで)


その人とはもうコミュニケーションをとることができないので、私の紐解きが正しいのかどうかはわからない。その人は、私とのコミュニケーションにおける「車間距離」の是正ではなく関係の断絶を希望しているのだと、その行為からは受け取ったので、私もその希望に応えるつもりでいる。

とすれば、これから私ができるのは、対象にかかわらず再現しないよう努めることしかない。
「絶対そうできます」なんてことは言えない。今回だって、私は相手を見下す意図などなく、コミュニケーションを継続し有意義な情報をギブ/テイクするための参考資料としてある情報を提示したつもりでいたのだから。同じように「そんなつもりでは……」という行為をすることはあり得るだろう。
でも留意する。留意して、勉強して、再現しないよう努力する。

……というのが、しばし泣いて、怒って悲しんだあと、冷静になって、資料を読んで、考えたこと。

なお、念のため記述しておくと、私は感情を表明すること「お気持ち」と揶揄することに反対している。
だから「『お気持ち』なんて出すな」というつもりはまったくない(むしろどんどん出してけと思ってる)。
むしろ、今回その人が自身の感情を「お気持ち」として、それをエアリプというかたちで出していることには、残念な気持ちがある。

でも、日本という社会においては、人と「議論」をするという土壌がまったく整備されていない社会においては、ネット上でのハラスメントが横行している社会においては、そういう手段をとる心情はとても理解できるし、そういう状況に至らしめたことを申し訳なく思っている。

◆◆◆

ここまでの人生、人間と人間の間に発生するさまざまな摩擦を避けて避けて、ときにはぶつかって失敗して、というのを繰り返してきた。その結果、(ぶつかったにせよ避けたにせよ)あらゆる摩擦をうまく解消することができず、人間関係を維持することができなかった。私はそういう人間として生きてきた。そのことを突きつけられた思いがした。

SNSで「○○すら言えないなんて、じゃあ何言えばいいんだよ」とのたまう輩に対し、「じゃあ何も言わなきゃいいんじゃないですかね」と反応する場面を散見するが、まさにあれを自分の頭の中で展開し、「じゃあ何も言わなきゃいいんじゃないですかね、ってこと、か」となった時間もあった。

今回のことがあって想起したのは、今まで複数の外猫を保護していて猫の医療にも詳しい人に、「○○には△△がいいらしいですよ」というツイートする、みたいな人のことだった。
あの手の場面に対しては、「それ求められてないやつ」と考えることができる。でも、自分のことには考えることができなかった。人のことなら「わかる」のに。

差別言動もそうだけど、「自分は間違わない」なんて、絶対ないんだなと心底思った。今までだってそんなこと思ってたわけじゃないというのは言っておきたいけど、実際に「失敗」して、本当にそう思った。

そして、その対処は一言で言い表せるものではなく、個別具体的に考え、追求するしかないんだ。難しいけど……て、難しいんだよ、人間は。人間と人間は。いや、自分と他者は、というべきかもしれない。自分と猫との関係だって難しい。
難しくても維持していきたいなら、その難しさに、個別具体的に向き合うしかないんだ。そこから逃げ続けてきた人間が言うのもなんだけど。

BBCの指針は、とても具体的で参考になった。

あと、以下のサイトの記述、今回私がとった言動は人種差別に関するものではなかったけど、人に対する対応を学ぶという点でとても勉強になった(英語だけど、ブラウザの翻訳機能で読んだ)。

How to Apologize for a Racist Comment(wikiHow、最終更新日2023年1月4日)
https://www.wikihow.com/Apologize-for-a-Racist-Comment

これでも小学校のときはまだ友達がいて、学校が終わったあとは毎日遊んでいた。
小学校高学年のとき、私が人生を最高に楽しんでいたあの期間、4人グループで遊ぶことが多くて、道を歩くときは「前2人、後ろ2人」という隊列を組むことが多かった。私は後ろの列。
中学生になって、友達と呼べる人と遊ぶ時間がまだあった頃は3人で遊ぶことが多く、そのときは「前2人、後ろ1人(私)」となった。

そうして道を歩いてるときに、私は、前の人のかかとをよく踏んでしまった。何度も。踏んでしまっては謝って、でもまた踏んでしまった。
どうして繰り返してしまったのか、どのように改善できたのか、覚えていない。でも、あのときのこわさは今でもよく覚えている。人に痛い思いをさせておいて「こわい」も何もない、と言われるかもしれないが、私はこわかった。何が起こっているかよくわからないままに、人を傷つけたことがこわかった。そこで生まれた感情もこわかった。
あのときの感情を、久しぶりにものすごく思い出した。

あと、人から拒絶されるのはつらい。
原因をつくったのは私だが(だから受け入れるしかないこともわかっているが)、つらさ、痛みがある。
「直接言ってくれれば」を望める立場ではないこともわかっている。でも、詰まるところ、不要な人間関係だから切られたのだ、と思う。人から不要と扱われるのはつらい。

冒頭に挙げたように、今回私がした「失敗」は複数あって、その中には私が無視されていることが明確になっているものもあった。そういう感情がまぜこぜになって、ドボドボと涙が出た。
号泣とまでは言わないが、大量の涙が出ると身体的ダメージがすごいということがわかった。翌日午前中までだいぶ頭が重かった。

Twitterについてはすでに、「Twitter上でしかおみかけできない人(の状況)にアクセスするため」「“拡声器”で広く訴えるため(ブロックしまくっているアカウントで何をって感じではあるけど)」のツールとしてしか使っていない。
Mastodonを使いはじめてその居心地のよさに慣れつつあったけれど、当たり前だけどMastodonも人と人で成り立っているものだなと実感した。同時に、Mastodonを交流目的ではなく壁打ち目的で使っている人もいる。いやほんと、当たり前のこと。

私はMastodonやTwitterに何を求めているのだろうか。ちゃんと考えてこなかったな。そしてSNSでなく、このサイトやZINEで自分の言葉や思考を大事にするということも、ちゃんと大事にしたい。

(3月5日の日記を、3月9日に記述したもの)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です