現在地

猫、また少しずつ食べるようになった。
もともとウェットフードよりドライフードが好きな子なのだけど、胃腸を休めることを優先するように言われ、消化のよいウェットフードを出していた。
もしかしたら、そのウェットフードに飽きたのもあるのかもしれない。

そこで体重を測りがてら、食欲喚起にとドライフードを数粒出してみることにした。
体重測定はいつもドライフードで猫を誘導するので、体重計を出すと「おいしいご飯」がセットになっていると猫は知っている。
この日も体重計を出し、ドライフードを手に隠すと、いつもの調子で体重計に乗った。ということは食欲はあるのか。それとも反射的なものなのか。
砕いたドライフード数粒分を出すと、ペロッと完食。ただ、そのうち3割(体感)ほどは口から出した。噛むところか飲み込むところに何か問題があるのかな、と思わせるしぐさだった。
夜には積極的に遊ぶようになり、数日ぶりに便も排泄。まだ様子見は必要だけど、回復傾向にあるとは思ってよさそうだ。小さく安心。

そして今日は金曜日。いよいよバースデーベアを完成させるときだ。
水曜に一旦完成させたベアの、1個大きく気になっていたところを、結局やりなおすことにしたのだった。
縫い糸を切り、布を開け、詰め物を一旦出して、再調整する。完璧とはほど遠いけど、どうにか見られるようになった。

市販のぬいぐるみで、めちゃくちゃ感触のいい、さらさらふわふわの生地のぬいぐるみがある。いろんなところで売られている、それこそ100円ショップにもあるような、本当に普通のぬいぐるみ。
チョカはあのさらさらふわふわが大好きで、私もその気持ちはすごくよくわかる。それを求めるなら、モヘアはちょっと違うかな……という感じ、だと思っていた。
でも、毛をほぐし、表情を整えるためになでていると、なんともいえない感触が手から伝わってきた。ブランクが空く前、杵柄を一生懸命握っていた頃に確かめていた感触の記憶とは違った。モヘアも十分さらさらでふわふわだった。

体長約50cm、体重約3000gのバースデーベア。抱きかかえると赤ちゃんのサイズ感がしっかりある。
猫の造形にしたつもりだが、どうも猫っぽくない。かわいいかといわれると、「うわ〜〜〜〜かわい〜〜〜〜〜」というかわいさじゃない。これをプレゼントしても、チョカはあんまり……という感じになりそうな気がする。
ここが私の現在地なんだ。そう思うしかなかった。私は無力だ。猫のこともそう。手からこぼしてしまったいろんなものをまた悔いてしまう。無力だ。

でも、とにかく完成はできた。喜ばれなかったら私と一緒にいればいいさ。

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