朝ご飯を食べ終わって「さあコーヒーでも……」のコーヒーを盛大にこぼした。高さのある真空断熱カップを手に取ろうとしたその手がカップにぶつかってしまったのだった。カップは壁に向かって倒れた。壁は白い。壁の下には大量の電源ケーブルが行き交っている。よりによってここにこぼれるかよ……と思ったが、反対側だったらMacを直撃していた可能性もあるわけで、まだましだと言えるかもしれない。でも最悪だった。
予定では、午前中からZINEの原稿の続きをやって早めに仕上げ、できれば夜は受注仕事に着手するつもりだった。こんなはずでは。ともあれ、こうなった以上片付けるしかない。おおむね片付いたのは午後に入ってからだった。壁紙のしみが消えきっていないように見えるのは、私の呵責からなのか、光の加減なのか、気のせいなのかわからないけど、疲れたのと進捗がやばいので、ひとまずZINEに向かうことにした。
しかしこれ、今後はどうしようかな……。机で飲み物を飲まないわけにはいかない。机のどこにこぼれても被害は甚大だ。ふた付き容器で飲める飲み物ばかりではない(むしろそのほうが少ない)。瀬戸物の重みのあるグラスを使うか? 夏はそれでもいいが冬はすぐに冷めるだろうな。困った……。とりあえず今日はペットボトル入りの飲み物にした。
5月18日。「5.18光州民主化運動」の日。
2020年と2021年には、この時期にBSプレミアムで『タクシー運転手』を放送していた。
2020年には〈韓国はこの作品を撮ることができる国なのだなあ……撮る側からも観る側からも現実をきちんと直視できる成熟した国なのだなあ……とひたすらうらやましく思った〉と書いた。
2021年には〈前回観たときとくらべて、政府広報と化すテレビとか国民に銃を向ける軍の見え方の迫り方が、恐ろしく目の前に近づいてきちゃったな。というのと、病院の惨状(人を病院に送り込む側)の見え方がもう全然違ってしまった。来年の季節にまた観るとき、どんな心持ちでいられるのだろう〉と書いた。
2022年は放送がなかった。今年もないのかな。これも地上波で放送してほしい映画だ。
残念なことに、Amazonプライムビデオでは見放題が終わってしまうらしい。U-NEXTではまだ見放題あり。
〈彼にとって父親は、時代の痛みを知らせるために自分の持ち場で最善を尽くした平凡だが勇気ある市民の典型だ。1980年光州以後、世の中が少しでも良くなったとすれば、各々最善を尽くした父のような人のおかげだと彼は信じる〉
『タクシー運転手』キム・サボク氏の長男「本当の父の姿を知らせたい」(ハンギョレ、2018/05/13)