オンラインで毎日押し寄せるつらいニュースの数々に加え、今日は朝からいやな話やしんどい話がオフラインでも押し寄せていて、眉間にしわがより続けていた。それでも、猫の寝姿を眺めひなたぼっこをするなどしてチャージしていたのだけど、イ・ソンギュンの報道でとどめをさされた気持ちになった(リンク先、自死に関する内容を含みます)。
警察による19時間を超える取り調べを受けたことを報じる記事には〈警察はイ・ソンギュンの追加の召喚調査はもうないだろうと明かし、調査内容を総合して近く送致の可否を決める方針だと伝えた〉とあり、どうかこれが最後になってくれ、来年からはまた映画のなかで輝く姿を見せてくれと願ったばかりだった。数日前には、『HUNT』でチョン・ヘジンの活躍を見たばかりだ。年末年始には『キングメーカー 大統領を作った男』を見返すつもりだった。
「噓だろ」って言いたい。けど、私がこうして「噓だろ」と言う頃にはもう遅くて、ひとの命はすでに奪われている。イスラエルによるジェノサイドも、日本の政治や入管も、数多の差別も、命を奪い続けている。
この「手遅れ」を根本的になくすためには社会をよくすることが不可欠だけど、それは簡単なことじゃなくて、よくするまでの時間にも多くの「手遅れ」が起きてしまう(それに、社会をこのままにしてしまえば、自分もじきにその「手遅れ」の対象になるだろう)。
けど、その「手遅れ」で奪われる命は命であって数じゃない。奪われる命を、机上の論理をもてあそぶ駒のように扱って、「しょうがない」「うーん難しいですよね」ですませたらだめなんだ。
ある方が、大川原化工機の冤罪について〈こういう最悪な暴力を阻止できるかどうかも、利害の足し算に留まらず「誰かが理不尽な目に遭うのを看過しない」という大前提を共有できるかどうかで決まるんじゃないか〉とツイートしていた。まさにそれだと思った。大川原化工機のことについても、パレスチナのことについても、イ・ソンギュンのことについても、「まさにそれ」になる。
【2023/12/31追記】
パク・ソンウンからイ・ジェフンまで…「2023 SBS演技大賞」でイ・ソンギュンさんを追悼(Kstyle、2023/12/30)
〈最優秀演技賞ミニシリーズジャンル/アクション部門は、「国民死刑投票」のパク・ソンウンが受賞した。彼は「受賞の感想の代わりに手紙を書きたい」とし、「これ以上、痛みも心配事もない平安な世の中で、安らかに休むことを願う。今日、あなたを天国に送った日だが、兄さんがこの賞を受賞した。いつも演技に本気だった空にいるあなたにこの賞を捧げる。さようなら、弟」とイ・ソンギュンさんに言いたいことを伝え、周囲を悲しませた。〉
パク・ソンウンからイ・ジェフンまで…「2023 SBS演技大賞」でイ・ソンギュンさんを追悼(Kstyle、2023/12/30)