猫のヒヤリハット

うちのキャットタワーにはいくつかの段があるが、どの段も猫の大きさに対してだいぶ小さく感じる。
一番上の段は、子猫のときはよくのぼって寝ていたような気がするけど、いまや姿勢よく座っているぐらいしかできないのではないだろうか。そう思って、万一落ちたら危険なのではと、クッションでふさいでいる。
その下の段はほどよい広さと高さがあり、猫がよく横になっている。でも、遊んで興奮し体を反転させようとしたらあわや転落……ということはたびたびある。ので、私も気をつけているし、猫自身もタワーの柱につかまって落ちないようにしている。

そのタワーも5年近く使い込まれてきており、いいのがあればそろそろ買い替えようかと定期的にキャットタワーを物色している。けど、「これ」というのがあんまりない。よさそうだなと思うものはたくさんあるけど、「これ画期的にいいな!」みたいなものになかなか出合えない。といっても、「じゃあ画期的なキャットタワーの要件は?」と問われても明確に言語化できているわけではない。「これだったら……まあ今のままでいいか」となる感じ。私の財布に余裕がないという大前提があるのはもちろんなんだけど。

今日も猫は、私が仕事をするかたわらでタワーに横になっていた。もちろんエアコンを使っているが、ここ数日は猫も心なしかへばっているような気がする。しばらくすると、タワーのほうからガリガリ音がした。猫がタワーの柱にしがみついて蹴り蹴りする音。じゃあ遊びますか……と立ち上がって、猫の遊び道具を取りに行く。

戻ってくると、猫が口をあがあがしていた。口を大きく開けて、何かを取ろうとしているような表情。見ると、タワーの最上段から布がほつれて糸が出ており、その糸に犬歯がひっかかっていた。猫がパニクって暴れかけているのではさみを使うのがこわいな……と思いつつ、糸を手でつかんではさみを入れようとしたら、幸い手だけで取れた。歯や歯ぐきは大丈夫だろうかと、しばらく様子を見つつフードを出したり口をさわったりしたが、問題なさそうだった。

これは初めてのヒヤリハットだった。幸い今回は、糸にひっかかっていたとはいえ体が浮くような高さではなかったし、状況からすると猫だけでもいずれは取れていただろうと思う。また、うちは猫だけで留守番するシチュエーションもほとんどないし、猫用カメラも稼働させている。とはいえ、夜中に猫だけが行動する時間もある。何があるかわからないと思って、気を引き締めて、気をつけなければ。とりあえず、タワーの糸ほつれは定期的に切り、ひも部分は巻き直すことにする。

そういえばこないだ、ひとり暮らしの方が不在にする際に猫をケージに入れていくと書かれている投稿を見かけた。考えてみれば、私には猫の長時間留守番のノウハウがなく、「そうか、そういうものなのか」と新鮮な知識として受け入れたのだった。

今回のヒヤリハットで、そのことを思い出した。こういう予期せぬ事故が起こり得るなら、確かにケージに入れていくことは考えなければいけないことだ。猫も大きくなってある程度分別もついてきたから、ひとがいない時間は寝ていることが多いから、うちの猫は留守番することになっても大丈夫かなと、なんとなく考えていたところがあったけど、「大丈夫」はないんだな。

お世話になっているかかりつけの獣医さんは、夜寝るときには、自身の飼い猫をケージに入れるのだそうだ。うちもそうしておけばよかったなあ……と思うことはたびたびあったが、今も心底そう思う。子猫のときはそうしていた。それを続けておけばよかった。これからは非常時の対応などもいつあるかわからないし。もちろん、ケージに入れることがすべての対策になるものではないけど、必要なときには必要な措置のひとつだ。

猫のヒヤリハット集が欲しい。誤食と中毒についてはねこねっこさんの書籍があるし、季節に応じて「猫の熱中症を防ぐには」的なWEB記事が断片的に出ることはあるけど、「猫の事故全般を防ぐためのヒヤリハット」というくくりでまとまったものがあるといい。猫を飼うときに最初に読めるようなやつ。私がそうだったのだけど、初めて猫を飼うときにこんなことがあるなんて想像できなかったし、想像できないということはそれに対する防御体制をとれないということなので。

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この写真にあるピンクの物体は私が羊毛でつくった袋状のものなのだけど、これがけっこう丈夫で、猫が噛んでも蹴っても今のところほつれがない(写真に写っている糸くずはこのあと切った)。

うちの猫は何かというと噛むし、ウールサッキングしがちで、やわらかめに縮絨させたフェルトの敷物に穴を空けたこともあったので、羊毛を誤食してしまわないように、羊毛製品はなるべく身の回りに置かないようにしている。私は羊毛フェルトをしているが(最近全然できてないけど)、原毛もつくったものも猫が開けられないところにしまっている。

でも、限界までガチガチに縮絨したフェルトなら、この猫でも大丈夫っぽい。それなら、羊毛で猫のおもちゃをつくったりすることもできるのかもしれない。いずれにしても、おもちゃは監視のもとで使うし、使ったあとはしまう前提だけど。

猫自身はふわふわ、ひらひら、きらきらとしたもののほうが好きみたいだから喜ぶかわからないが、今度つくってみようかな。妹の家の犬のおもちゃに応用できるかもしれないし。

猫が羊毛フェルト製のおもちゃで遊んでいるところ。

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