満たされない

天気よし。午前中はテントで寝ていることの多い猫がひなたぼっこをしていたので、私もその横にいた。
私がソファに寄りかかって足を伸ばしていると、その足に寄りかかって寝ることが多い。ソファの場所と家族関係の都合で、ほかのひとがいない時間帯とリビングでチョカと過ごす時間帯しかそこにいられず、猫のためにその姿勢を保てる時間は週7日月30日のうちでごくわずかだ。だから今日は、せめてものつぐないにと、しばらくそうして過ごしていた。
あたたかい場所でぼーっとして過ごすのは至福に決まっているが、私にはそのような贅沢は許されず、本を読むか日記を書くかなどするべきだったかと思う。でも、ぼーっとして、たまに猫の写真を撮って、猫のことだけを見て猫のことだけを考える時間こそが、猫孝行なんじゃないかとも思う(写真は猫孝行ではなく人間のためだけど)。とはいえさすがにちょっと手持ち無沙汰になり、途中からツムツムを始めた。

1時間ぐらいしてからか、猫が起きて向こうへ歩いていった。他方、始めてしまったツムツムを続ける私。すると猫が鳴き出した。おなかが空いたというのか、遊んでくれというのか。猫の欲求はつきるところがない。そもそも、人間が人間本位の感情で勝手に1時間ばかり寄り添っていたところで、猫の何かが満たされるとは限らない。満たされたとしてもまた別の欲求が生まれる。それはそうだ。でも、その満たされなさを鳴き声というかたちでぶつけられ、自分の無力さをつきつけられたように感じ、瞬間イライラが湧き上がってしまった。

その満たされなさが、ツムツムの終わらない感じに重なる。
ツムツムにはそのときどきのイベントがあって、何かタスクを達成するとアイテムがもらえる。何か1つタスクを達成すれば、すぐに次のタスクが課される。それを延々とクリアするよう仕向けられる。そもそも60秒のプレイの中で、ツムツムが空になることもない。消しても消してもどんどん補充され、私はそれを消し続ける。次第に「何やってんだ」という気持ちになる。

その気持ちが、自分の毎日に重なる。
毎日机に向かって仕事をして、SNSをのぞいて暗い気持ちになって、仕事は終わらず、したいことは頭の中にどんどんたまっていくのに実際には何ひとつ実行に移せない。他方SNSには、私のしたいことを着々と実行している方々がいる。日記書く、イラスト描く、ZINEつくる、ネットプリント出す、テディベアつくる、フェルトつくる、ZINEイベントを開く……。そういう方々をお見かけしては、わーーーっとなっている。

こんなに毎日ずっと、したいことが何もできなくて、何のために今私はここにいるのかな——。これは毎朝起きるときに思うことだ。
寝るときは何も考えない。布団に入り「今日はもう何も考えなくていいんだ」と思える至福の瞬間だ。でも朝起きて布団をたたみ猫にご飯を出しながら、今日何曜日だっけ、今日は何をする日だっけ、と考えるうちに、「こんな、したいことが1個も入ってない日々を続けることが何になっているというのだろう」と思う。では毎日何をしているかといえば、大半は仕事か仕事の種まきか仕事の後片付けか生活のためのあれこれだけど、それでかわりに生活に不自由ないだけの収入を得られているわけでも毛頭ない。

私はどうしたら、自分の24時間をもっとましに過ごせるんだろう……。今のままじゃよくない。精神が荒れる一方だ。とにかく目の前の仕事を終えて、確定申告をやっつけて、何か1個でもしたいことをして、そしたら考えよう。この流れをどうたちきるかを。

昨日クライアントにメールした件について返事がこず、「めずらしいな、メールのレスポンスいつも早い方なのに」と思いながら、続報をメールしようと昨日送ったメールを開く。そしたらなんと、そのメール、自分に送ってた。ふだんからメールは自分にbccで送信しているから、メールが自分に届いたことが「宛て先をミスっているから」とは微塵も思わなかった。

最初はちょっと信じられなかった。こんな凡も凡のミスで、私は1日をむだにしてしまったのかよーーー……。月末の1日、超絶貴重なんだが……。何より、自分宛てだからまだよかったけど、全然別のひとに送っていたらやばかった。自分への怒りと冷や汗がふきあがる。

今回失敗したポイントは、既存のメールに返信するのではなく、新規メールに手打ちで宛て先を入力したこと。そんなことほとんどしないのだけど、Gmailはアドレスの頭文字や名前の一部を入力すると候補が出てくるので、それを使って新規メールで送ってしまった。対策は「既存のメールに返信すること(宛て先の新規入力をしないこと)」「bccで送った自分宛のメールを即開封してあて先を確認すること」。幸い致命的な影響はなく、今後きちんと対策すれば済む。だとしても落ちこんではしまう。

窓ぎわで太陽の日差しを受けている猫の顔(右側)からおなかにかけてが写っている。ひげが日差しでキラキラ光っている。猫の柄は麦わら柄。

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